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大学の就職担当者に質問
家族は就活生をどうサポートすればいい?

-Uターン就職で気をつけることは?- 神奈川大学 就職支援部
事務部長 旭 馨さん
就職課長 手戸 和歌子さん
2023年12月取材

今回は神奈川大学就職支援部の旭さん、手戸さんに就活生の家族へのアドバイスをお伺いしてきました!


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代替テキスト
とっぴー

大学での就職支援はどのようなことをされていますか?

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旭さん

以前の大学の就職課は業界や企業の資料を備えて求人票を貼り出し、学生が訪れるのを待つ「場」のようなものでしたが、今の就職課は学生に働きかけています。就職活動の基礎知識や心構えから、実践的な書類作成や面接練習、アドバイスやフォローまでを行って、就職活動全般をサポートする専門部署です。
本学では、将来の進路を考えるきっかけにしてもらうために1年生の時からオリエンテーションを開催しています。時間をかけて「自分は何が好きか」「何がしたいか」を考え、いろいろな経験をプールしていけば、将来の方向性も見えてくるでしょうし、就職活動での自己PRや面接に役立てることもできます。また、就職専用ポータルサイトにて求人閲覧、イベント・講座の申し込みやアドバイザーとの面談予約ができるほか、有益な情報を学生にメールで送るなど、多様な働きかけも欠かしません。ぜひ気軽に活用してほしいですし、困ったら頼ってほしいと思っています。


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とっぴー

就職活動のスケジュールは変わりましたか? インターンシップ等には参加したほうがいいのでしょうか?

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旭さん

3年生3月からの求人情報・エントリーの解禁は変わりません。ですが、3年生の夏から冬にかけて就業体験ができるインターンシップ等が開催されるので、実際の活動は夏前から始まっているといっていいでしょう。3年生の学生のインターンシップ等への平均参加率は80%以上、平均参加社数は5社以上といわれています。
23年度から、期間や内容など一定の条件を満たしたインターンシップでは、参加した学生の情報や評価を選考に活用できるようになったので、就職活動は今後ますます早期化していくでしょう。こうした状況に多くの大学では対応が始まっています。



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代替テキスト
とっぴー

子どもに就職活動している様子が見られません。

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手戸さん

今は、新卒に特化した就職情報サイトやエージェントサービスがあり、企業も採用サイトを持っているなど、情報収集はもちろん、企業説明会等の参加や採用面接もオンラインで行う場合もあります。また、それぞれの大学の就職課でも情報は専用サイトにアップしているので、ご家族の目にふれない形で就職活動を進めていることは十分に考えられます。
そのような状況ですので「就職活動をしているの?」や「早く進めないと」と頻繁に声をかけたりすると、お子さんにとってストレスになることもあります。実際に「親にされて嫌だったこと」ランキングの上位に「就職活動の進め方について意見された」が入っているので、ぜひ温かく見守ってあげてください。


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とっぴー

子どもの希望がよく理解できません。

代替テキスト
手戸さん

親世代のみなさんの時代と今では、就職活動の仕方も、人気のある業界や仕事も変わっていますし、やりがいに加えて就業形態や勤務地、副業、転職など働き方で重視する項目も多様化しています。このように様々な違いがあるので、お子さんのことを思って話したことが、「自分の気持ちを汲んでくれなかった」「親の世代と比べられた」と捉えられることもあります。就職とはこういうものだと決めてかからず、まずはお子さんの気持ちを聞いていただきたいと思います。
お子さん自身が迷ったり悩んだりしているのであれば、「就職課に行ってみたら」「個別に相談に乗ってくれると聞いたよ」などと伝えていただきたいです。職員はお子さんの現状を聞いたうえで、ご家族の方の気持ちも伝えながらしっかりとサポートいたします。


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代替テキスト
とっぴー

Uターン就職で気を付けることはありますか?

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旭さん

Uターンするかどうかについては、就職活動の時期を待たず早めにお子さんと話し合ってください。事前の相談がないまま首都圏で内定したと聞いたというご家族の声や、就職活動を始めたら「家族から急に戻ってきてほしいと言われて戸惑った」という学生の声を耳にします。お互いのために、結果ではなく、お互いの意向を共有することが大切です。お子さんの「こうしていきたい」という声に耳を傾けてください。もちろん「Uターンしてほしい」や「首都圏での就職を応援する」という気持ちを伝えておくことも忘れないでください。
地方での就職については情報が得られないのではという心配はいりません。各地域の就活サイトや自治体の就活サポートもあります。今、首都圏の大学では自治体と連携して、セミナーの開催、地方でのインターンシップ等の参加を促し、U・Iターンをサポートしています。本学では各都道府県の就職支援担当者を招くU・Iターンフェアを開催し、地方出身学生支援に力を入れています。
また、Uターンについてお子さんが乗り気ではないときは、少し待ってみてはどうでしょう。首都圏で数年働いた後、「のんびりと過ごしたい」「物価が安く、余裕が生まれる」「将来の子育ての環境」などを踏まえて、Uターンを考えるケースが少なくありません。少し長い目で見守ることも必要ではないかと思います。


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とっぴー

どんなふうにアドバイスをしたらいいでしょう。

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手戸さん

心がけていただきたいのは、本人の考えを尊重し肯定することです。就職とはこういうものだと決めつけることなく、聞き役になってください。
ただ、就活生はまだ視野が狭いため、社会や企業について知らないことも多いでしょう。私たち職員も、誰もが名前を知っている企業が誰にとっても最適な職場とは限らないこと、支える企業や関連企業があってこそ、その有名企業が成り立っていることを伝えていますので、ご家庭でも「企業選びは広い視野を持って」とアドバイスしてください。


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代替テキスト
とっぴー

具体的に何をしてあげたらいいのかがわかりません。

代替テキスト
手戸さん

就活生が求めているのは、特別なことではなく、普段と同じように接し続けることです。困ったときやうまくいかなかったときも、いつもと変わらず見守ってくれるご家族の存在は何よりの助けなのです。「スーツなど就職活動に必要なものを用意してくれた」「金銭的な援助をしてくれた」「食事や生活面の援助をしてくれた」など、就活生はご家族からのサポートに感謝しています。難しいことかもしれませんが、「いつもと変わらない」を目指してください。


代替テキスト
とっぴー

逆にしてはいけないことはありますか?

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旭さん

一番避けるべきことは、本人の考えや行動を否定することです。親にされて嫌だったことランキングの上位には「志望する業種や職種について意見された」「ライフプランについて意見された」などが並んでいます。意見や判断を述べるのではなく、自分の気持ちを汲んで寄り添ってもらえることを就活生は求めています。とはいえ、データでは70%近い就活生が「嫌だったことは特にない」と答えているので、あまり気を使いすぎる必要もないと思います。お子さんの成長を見守ってあげてください。