今回は、新潟青陵大学・短期大学部キャリアセンターの方に就活での保護者の役割などお話をお伺いしてきました!
就活が近づいても子どもは「のんびり」「楽観的」で、就職活動に乗り遅れるのではと心配です。
親御さんの時代と今では、就職活動は時期も方法も大きく様変わりしました。今は情報収集から試験、面接まで就活のプロセスはオンラインが主流です。加えて、3月の情報解禁の前に、オンラインでのインターンシップがあったり、それぞれの企業からSNSやWebでの情報発信があったり、様々な就活の機会が設けられています。インターンシップもオンラインも行う1日タイプが多いので表立った動きが見えなくても、実は就活を始めていることもあります。
そういう時に「ちゃんとやってる?」と聞いたり、就活を促すようなことを言ったりすると、お子さんにとってのプレッシャーになりかねません。ご心配なこともあると思いますが、ぐっとこらえて見守っていきましょう。
新しいオンライン就活に子どもが対応できているのかも不安です。
新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、大学では対面の講義ができなくなり、2020年から多くの大学でオンラインにシフトしています。ですから、学生たちはオンラインでのやり取りには慣れていますし、抵抗感も薄いようです。むしろ、時間や交通費を掛けずに全国の企業の説明会やインターンシップに参加できるというメリットを感じている人が多いです。
懸念するとしたら、オンライン就活は基本的に自宅で完結するので、友人のスーツ姿を見てハッとするようなグループダイナミクスが働きにくいことでしょうか。大学の就職課の掲示やセミナー、就職ポータルサイトなどで、自主的に情報収集ができるどうかが大きなポイントです。当学では3年生の秋に就活に向けた講座をスタートしたのち、個人面談や相談を行って、学生一人ひとりが就活を意識し、行動につなげられるようにサポートしています。
目指す進路が一貫していないように感じます。
企業を選ぶには、学生一人ひとりが自分なりの理由を持っています。学生が会社を見るポイントも時代とともに変わっていることをご存じですか。かつては規模や知名度、給与などが重視することとして挙げられましたが、今では「入社後に学べるか」「長く働き続けられるか」と考えて教育や研修、キャリアパス、離職率、育休取得率などに注目する学生が増えています。そうした価値観で選んでいくと、業界や職種を縦断したラインナップになることは十分にあり得ます。
早く就活を終えたくて安易に決めたのではないかと思ってしまいます。
当学では保護者向けのセミナーや面談も行っていますが、そこで感じるのは、世代が違うと「将来性のある企業」「成長産業」「魅力的な仕事」についての考え方が大きく異なるということです。また、興味や価値観も違うでしょう。そうした様々な違いがあるので、よかれと思った意見やアドバイスが足かせになることもあります。まずはお子さんの考えを受け止めるようにしてください。「その会社で本当にいいのか」など否定的な言い方をしたら、その後、子どもの方から話をしなくなったとはよく聞く話です。また、自分が頑張ったことを否定されて自信を失い、就活自体を止めてしまうことも考えられます。
UIターン就活で気を付けることはありますか。
採用活動がオンライン化されたこともあり、大学と離れた場所や出身地での就活の負担は減っています。UターンやIターンだからと不利なことはありません。大事なのは、UIターンは家族の問題なので、就活の前にどのエリアで就職するかを親子で話し合って、お互いに理解しておくことです。当学でも、せっかく内定が決まったのに東京での就職を家族が反対して辞退したというケースがありました。
就活を始める前に帰省のタイミングなどを利用して、UIターンについて家族で話し合っておいてください。進学の時でも早すぎることはないと思います。
また、首都圏に進学していて新潟へUIターンを考えている場合は、表参道・新潟館「ネスパス」のにいがた暮らし・しごと支援センターなどの公的な相談窓口を利用するのも効果的です。
子どもとのコミュニケーションがうまく取れません。
コミュニケーションは積み重ねですから、就活の時期だけでなく、いざというときにお子さんが話をしやすいような環境を普段から作っておくことが大切です。私たちからアドバイスできることがあるとしたら「聞き役に徹する」ということです。お子さんは自分のタイミングで話をしてくるでしょうから、その時に否定しないで耳を傾けてください。それが一番の励ましです。
就活がうまくいかないと言ってきたらどうしたらいいでしょう。
それぞれの大学には就活を支援する部署があるので、まずはそこに相談することを勧められたらどうでしょう。一般的な就活の情報はもちろん、大学の特徴をよく知っているので、一人ひとりが学んだことや取得した資格などを踏まえて、目指す業界やアピールの仕方などについて具体的なアドバイスをしてくれるはずです。公務員試験やSPIといった試験対策や必要な資料も揃っているでしょう。
親として何をしてあげたらいいのかがわかりません。
お子さんにとって一番身近な存在で、困ったときやうまくいかなかったときに支えになれるのは親御さんや家族です。支えるといっても特別な声かけや行動が必要なのではありません。就職が決まった後に聞いてみると、多くの学生が「いいときも悪いときも、親がいつもと変わらない態度で接してくれたのがうれしかった」と声を揃えます。お子さんが欲しているのは、エールではなく、寄り添ってもらうことなのです。ぜひ温かく見守ってあげてください。