今回は、コロナ禍における就職活動の変化や企業の採用状況などを、株式会社マイナビの新潟支社長である小島さんにお伺いしてきました!
近年の企業の採用動向について教えてください。
2023年卒も前年度に引続き、コロナ禍での採用活動となりますが、新卒採用を予定している企業は約8割と例年並みで、採用意欲は衰えていません。 コロナ禍での経験を踏まえ、オンラインと対面を組み合わせながら採用を継続する企業が大半です。 「組織の存続と強化」「年齢などの人員構成の適正化」のために、企業は優秀な人や会社にマッチする人がいれば積極的に採用したいと考えています。
コロナ禍で苦戦している学生も多いのでは?
学生生活が制限され、「学生時代に力を入れたこと」が話しづらくなってしまうのではないかと心配していましたが、 2021年11月時点の調査では「ガクチカ(=学生時代に力を入れて取り組んだこと)として話せるエピソードが1つ以上ある」と回答した学生が91.2%いることが分かりました。 コロナ禍でできることが限られながらも、自分なりに工夫や努力を行っていたことが分かります。 これから就職活動の準備を始める方も、エピソードの多さを重要視するのではなく、ひとつのやり遂げたことを深堀りするなどして、ガクチカを整理しておくとよいでしょう。
どのような企業が選ばれていますか?
コロナ禍により学生の志向にもやや変化がみられました。 2023年卒の学生に、企業を選択する場合にどんな企業がよいかを聞いたところ、「安定している会社」が43.9%と最多で、調査を開始した2001年卒以降で最も高い割合になりました。 不透明な経済情勢を反映して、少しでも安定した未来を見通せる選択をしたいとする思いがうかがえます。 ただ、一口に「安定志向」と言っても価値観は様々で、必ずしも「長く続く大手企業=安定」というステレオタイプなイメージではなくなっているように感じます。
地元志向やUI ターン志向の変化はどうですか?
2023年3月卒業予定の全国の大学生、大学院生が地元(Uターン含む)就職を希望する割合は62.6%で2年連続の増加となりました。 就職活動のオンライン化により、帰省しなくても説明会に参加できるケースが増え、地元企業が選択肢に入ってきたことが要因の一つとして考えられます。 今後もリモートワークが普及し、働き方・働く環境の多様化が進むことにより、地方就職を選択肢に入れる学生が増える可能性はあると考えています。
コロナ禍で採用スケジュールの変更はあるのでしょうか?
これまで通り、政府が取り決めた「3月広報活動開始、6月選考開始」のスケジュールにて進行するため、大きなスケジュール変更はありません。 2021卒はコロナ禍により選考の中断などもありましたが、これまでの2年の経験を経て、WEB選考や感染対策を実施して対面選考をするノウハウもあるので、よほどの事情がない限り採用活動が止まる心配はないでしょう。
就職活動の準備はいつから始めればいいですか?
企業がオンラインを通じた情報の配信、説明会やインターンシップを行うケースが増えているため、更新される情報などに注意しながら、早め早めに就活準備に取り組んでいきましょう。 具体的には、3月の企業エントリー、企業説明会、エントリーシート提出など就職活動が本格的にスタートする前に、インターンシップに参加をしたり、自己分析・仕事研究を進めたりすることで、ご自身のキャリア観や職業観を醸成することをおすすめします。 毎年6月からインターンシップ情報が増えてきますが、大学3年生だけでなく1年生、2年生から参加が出来るインターンシップもありますよ。
インターンシップに参加するメリットは?
ここ数年、インターンシップの参加率は高い水準にあり、就職活動のスタート前に自分の視野を広げて志向を絞り込む学生が増加しています。 インターンシップ参加のメリットは様々ありますが、仕事理解と自己理解が進む貴重な機会だと思います。就職活動前にどのような仕事があるのかを知ったり、自分の適性や課題が発見できたり、就活準備が出来ます。 目標となる社会人や他校の学生と出会えるなど、人脈が広がるチャンスがあることも魅力ですね。 新潟県でも多くの企業がインターンシップを実施しています。最近は訪問型のインターンシップだけでなく、WEBで参加できるインターンシップの開催も増えており、 新潟県へのUIターン就職を考える方も参加しやすくなっていると感じています。様々な業界、企業のインターンシップに参加することで、自己理解と仕事理解に役立てほしいと思います。
2022年に6月14日に産学協議会よりインターンシップのルール改正がありました。どのような内容なのでしょうか?
2023年卒、2024年卒の就活生の方には影響はなく、 対象は2025年卒学生のインターンシップからとなります。 改正のポイントは、一定の基準(内容や実施期間など)を満たしたインターンシップにおいて、企業が参加学生の情報を広報活動や採用選考活動に使用できるようになったことです。 基準を満たしたプログラムには、募集内容などに「情報開示要件」が明記されるため、参加者はインターンシップが「どういう目的で実施されるものなのか」を事前に確認することができます。 「情報を広報・選考に活用するタイプのインターンシップ」に挑戦したいのか、または、キャリア教育や職業観の醸成を目的とした、「採用に関わらないインターンシップ」に参加したいのか。 ご自分の目的に併せた選択ができるという捉え方もできると思います。
コロナ禍の就職活動におけるポイントなどはありますか?
コロナ禍により採用活動をオンラインで行う企業が増えましたが、対面とWEBとを併用する企業は増えています。 企業からは「WEB形式で説明会を実施することで遠方の学生にも参加してもらえる」という意見があり、UIターンを考えている方にとっては、オンライン化は説明会や選考会に参加しやすく、最大限活用したいところだと思います。 一方で、オンライン化により「社風や社員の人柄などの雰囲気が分かりづらい」という学生の声もお聞きします。 入社前のミスマッチを防ぐため、可能であればリアルの場で実際に会って相互理解を深めることも大切です。
最後に就活生へアドバイスをお願いします。
コロナ禍を経て、今後社会は大いに変化していくので、長期スパンで自身がどうなりたいか、企業がどうなっていくのかを考える必要があります。 是非皆さんには、自分がどういう価値観を大事にしているのか、共感できるのか、という視点を大切にしてほしいと思います。 そのためにも、インターンシップや説明会、就活イベントへ参加するなどして視野を広げ、様々な情報を得ることも重要です。 また、WEBでの参加であっても、他大学の参加者から刺激をもらったり、情報交換したりすることもできます。 変化を前向きに捉え、悔いのないように活動してください。