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まちの酒屋に就職!私が新潟を選んだ理由

-コロナ禍でのUターン就職- 山後 緑さん MIDORI SANGO 2020年移住

世界を見てみたい

「2度の留学が考え方に大きな影響を与えました。」と笑顔で話すのは、わたご酒店でアシスタントディレクターを務めている山後緑(さんごみどり)さん。

燕市で生まれ育った山後さんが、まず世間を知ったのは高校生のとき。新潟県内から生徒が集まる進学校に進学した際、「今まで生きてきた世界がこんなに狭かったのか」と痛感したそうです。

そのときに感じた「もっといろいろな世界をみてみたい」という想いから、高校2年生のときにアメリカ合衆国のカリフォルニア州サンディエゴへ留学しました。留学した時の同期は東京の有名私立の高校生ばかり。同じ日本から来た彼らは、留学が当たり前、将来は国連で働きたいなど考え方や行動が高水準で、あまりにも自分と差があることに驚き、刺激を受けたそうです。

帰国後、より世界を見てみたいという気持ちが強まった山後さんは、早稲田大学の国際教養学部に進学しました。授業が全て英語で半分以上の学生が留学生。

世界各国からいろいろな人が集まり、新潟にいたら出会えないようなバッググランドを持つ同世代と毎日話し合えるこの上ない環境だったそうです。

人生の目的と手段を考える

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「東京に進学し、授業・インターン・サークルなどを通じて、いろんな方に出会うことができました。仕事をテキパキこなす大人の皆さんに憧れましたが、憧れると同時に私の中での働くことへのイメージは、『夜遅くまで働かないといけない』とか『仕事で成果を上げること自体が生活・人生の楽しみ』だと思うようになっていました。なんとなく違和感を感じながらも、大学を卒業したらそうならないといけないのだと肩に力が入っていました」。

「その後、大学2年生のときにスペインへ留学しました。そこで生活すること・働くことの価値観が一気に変わりました。現地で出会ったみんなが、それぞれの人生を楽しむことが生活の楽しみであって、その『目的』のための『手段』として働いている。その両立がすごく上手で、なんかすごく楽しそうだな、と思うと同時に、それまで私は働くという「手段」のことしか考えていなかったと気付きました。

「そこで私の目指したいのはなんだろうなと思うと『毎日美味しいご飯とお酒を楽しむこと』『自然を楽しみながら生活すること』だったので、そのための手段となる仕事はどこで何をしようかな、と考え始めました。その結果、私が働きたい場所は東京ではない気がして、地元新潟を見てみると、今は面白いことをしてる人がたくさん集まっている空気を感じました」。

東京に憧れて上京したので、とりあえず東京で就職活動していた時もありましたが、結果として大学卒業してすぐに新潟に帰って暮らすことの選択肢が出てきました。

職に選んだのは、幼いころから身近な存在

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東京での就職を辞めることにした山後さん。「新潟に帰ろうかな」。ぼんやりとそんな想いが出てきたとき、頭に浮かんだ人物がいたそうです。それが、山後さんが勤めているわたご酒店の店主・寺田和広さん。

「大学時代からお世話になっていて、日本酒の楽しみ方を教えていただいた方です。新潟に帰って寺田さんやわたご酒店の皆さんとお話しているうちに、考えていること、目指したい暮らし、つくりたい空間、共感できるものばかりで。ちょうどわたご酒店も新しい挑戦をしていくためにスタッフを必要としているなどいろいろな偶然も重なり、就職をさせていただきました」。

私の実家には昔から酒屋さんが日本酒などを配達するために出入りをしていた環境で、家族みんなが日本酒好き。日本酒も酒屋も身近な存在だったため、酒屋への就職には自分も周囲も抵抗がなかったと山後さん。2020年12月からアルバイト、21年4月からは社員として、新潟での新しい生活を始めました。

自然体な暮らし

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「東京で暮らしていたときに比べ今は気持ちがすごく軽くなりました。東京や神奈川で生活していたときは何かを消費している感じの毎日でした。SNSありきな繋がりもあったので、話題のものは常にチェックして、それを食べたり、買ったりしてからやっと友達との会話についていけるみたいな」。

「新潟だとそうじゃなくていい。海がキレイだったよ、山登りしたよ。とか、自然体で楽しめる会話が増えました。無理な消費をしなくてよくなったことで、私の幸福度は上がりました。趣味の絵を描いてみたり、海に行って寝転んでみたり、サップしたり、帰り道にちょっと遠回りして景色を眺めてみたり。部屋の窓を開ければ、鳥の声や木々のざわめきが聞こえてくる。東京や神奈川での生活より、私にはやっぱり新潟の生活のほうが合っていると思います」。美味しい食材やお酒もたくさんありますし!

新しいイベントの立ち上げ

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アシスタントディレクターとして、「イベントの企画・運営」「SNS運用・広報」「お酒の対面販売」を主な業務としている山後さん。

「大学時代に環境問題を勉強していたので、そこで学んだ知識を活かしたイベントを企画していきたいと思っています。また、現在わたご酒店で行っている日本酒文化、そして、そこに付帯する例えば、食や器などの文化も絡めたイベントもより多様なものにしていきたいと思います」。

「わたご酒店は、お酒の販売だけでなく、地域のイベントを計画したり、農家さんと新しい商品を作ったり、日本酒の輸出にも挑戦をしています。なので自分の経験を生かせると思ったし、他ではできないようなことにチャレンジできると思っています。これまでにも既に、お酒のラベルの絵を描かせてもらったり、イベントの取りまとめではかなり大きな部分をさせていただいていると思っています」。

「せっかく新潟で就職するなら、新潟らしい仕事をしたい」。 就職活動時、強く思ったという山後さんの挑戦は始まったばかりです。